憂太

music&poetry is life 

彼の素晴らしい作品を紹介します。

              タイトル 

     耳鳴り  love&peace  ロシアンチャイルド  レモン

   路上にて  6月  レモネード  夜中にチョコレート

 

 

 

                           耳鳴り

               舗道では舞い散る桜が春の光と戯れている
               青い空が果てしなく無邪気に広がってる
               なのに僕はさっきから耳鳴りが止まない
               62年のセックスシンボルが不確かな鏡を
               殺意の爪で引っ掻いてるヒステリックに

               広場では上着を脱ぐ男やページを捲る女
               走り出す子供たちの笑顔や断続的な噴水
               なのに僕はさっきから耳鳴りが止まない
               10年前のミルキーガールが飛び降り自殺
               寄り添い合うチルチルミチルの夢のまま       
タイトルへ

 

 

 

 

 

                      love&peace

               色のない場面がサイレントのまま過ぎる
               僕は君の瞳の奥に広がるそれを感じたい
               掻き消されそうな夢の綻びを辿りながら
               淀みの中で小さく澄んだそれを汲みたい
               僕らが世界に向かって開かれてなくても

                                                      タイトルへ

 

 

 

 

 

 

                    ロシアンチャイルド

             崩壊した世界で 神様は彼に引き金をひかせる
             地下通路で口笛を吹きながら盗んだ品を確かめる
             散らかり放題のキッチンでアル中の母親が待ってる
             彼の遊び場は荒廃の地下鉄で何か叫びながら……

                  ロシアンチャイルド 僕を見ている
                  ロシアンチャイルド 僕に手を振る
                  僕は白昼夢の中らしい

             インタヴュアーが彼に将来のことを尋ねると
             「欲しいものは家、いい嫁さんを見つけて……」
             そう答えて笑顔の彼と数週間前の10人目の現場
             崩壊した世界で 神様は彼に引き金を引かせる     

                                                      タイトルへ

 

                       レモン

          すがってる方向と反対の力が 僕の両足首に絡みついている
          もしもその力が愛すべきmother あなただったら……
          壊れそうな僕の目の前で 壊したい僕が笑ってる

               だからアンビバレントにレモンを浮かべ
               そのレモンの感触に憧れたりする

          見つめてる視線が鏡に反射し 僕に無力感を突きつける
          もしもその鏡が愛すべきfather あなただったら……
          狂いそうな僕の目の前で 狂いたい僕が笑ってる

          だからアンビバレントに冷蔵庫を開け
          そのレモンの感触を確かめたりする               
タイトルへ

 

 

                      路上にて

                  ビンに息を吹き込んで
                  唯々熱い路上にて 女は天高くそれを
                  放射物に描いて
                  しなやかに立っていた
                  それはきっと美しかった

                  陽射しを透明に反射するビン
                  唯々熱い路上にて 女は無表情にそれを
                  アスファルトに散らばる
                  ガラスの破片にした
                  それはきっと美しかった

                                                     タイトルへ

   

 

                       6月

                 壊れた冷蔵庫 トマト腐ってる
                 6月の屋根の下 雨音は気怠く
                 誰かが土の感触を確かめている
                 僕は手を伸ばす 僕は掴めない
                 天気図は変わらず 停滞前線
                 動きのない世界で 視界は曇ってる
                 水の上を裸体の女が浮いている
                 僕は目を閉じる 僕は触れない

                 儚い夢の中 岸に向かって
                 必死で漕ぐが
                 岸までの距離は
                 ますます隔たってく

                 窓際のテーブル 紫陽花咲いてる
                 誰もいない公園 ブランコ揺れたまま
                 ウェイトレスが腰を掛け遠くを見てる
                 その白い腕に 僕は縋りたい           
タイトルへ

 

 

                       レモネード

                  夜の瀬戸際で 間に合ったふたり
                  月を搾って レモネード飲んでる

                  街燈が照らしてる 穏やかな流れ
                  絶え間なく流れてる 時に横たわる

                  夜の窓際で ホッとしたふたり
                  月の滴の レモネード飲んでる

                                                    タイトルへ

 

 

 

                    夜中にチョコレート

                 夜中にチョコレート 食べてる
                 関係性がうまくイメージできないまま
                 頭の中ではさっきから
                 飛びたいとか……ブツブツ

                 つけっ放しTV
                 羊飼いの影達が
                 砂丘を歩いてる
                 もうすぐ砂嵐
                 砂に埋もれてく 

                 夜中にチョコレート 食べてる
                 連続性がうまくイメージできないまま
                 頭の中ではさっきから
                 超えたいとか……ブツブツ

            

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