≪music&poetry is life ≫
彼の素晴らしい作品を紹介します。
タイトル
青い羽根
真夜中の窓を開け
闇に羽根を飛ばす
羽根が夜を撫でる
残虐なサイレンが
月の光を浴びて 鳴り響く前に
輝く森の花の蜜 せめて青い羽を飛ばして
僕を誘う匂い 悲鳴の赤い血が
大地を染めぬよう
湖には泳ぐ人 青い羽を指で揺らして
インディアンの祈りと
羽根を風に乗せる
イメージ
まだ昼前の公園のベンチで
頭の中では悪い人たちが流れてる
真冬の海の色みたいな気分で沈む
理由のない憂鬱に戸惑ってる
僕は光の断片にすがりたくて イメージする
女の胸元に青く光るトルコ石
雲の切れ間から差し込む陽射し
純粋な祈りと鐘の音
まだ昼前の公園のベンチで
どんよりと鉛色の空を見上げる
重たい身体と泣き出しそうな感じ
理由のない憎しみに絡まってる
僕は光の断片にすがりたくて イメージする
赤い花弁の上の滴と白い肌
メリーゴーランドで微笑む人
サージェント・ペパーのジャケット
陰鬱
明け方の夢に呑み込まれてく 奇妙な男が手招きしてる
瞬きしない眼に映るもの 男が僕に喋り始める
何しろとても陰鬱で 私は部屋を出ることにした
綺麗な店のショウウィンドウを壊したくなって
その時神が死んだんだ
何しろとても陰鬱で 私の理性は壊れてしまって
もう衝動の奴隷になって レースに殺意と身を委ね
その時神が死んだんだ
光と闇がすりかわる頃 奇妙な男は闇に帰った
斜めの陽の中僕は呟く 何しろとても陰鬱で
ガラス越しの世界
人々がすれ違ってく 問題がすり替わってく
黄昏が裏返る
夜の入り口でしゃがみこむ 僕はガラス越しの世界にいる
全てが僕と関係なく流れてく
そのワインには毒が盛られてるなんて
ちょっと狂ってる僕と……
足早に歩く人たち 何事もないような仮面
隠されている憎悪
夜の入り口でしゃがみこむ 僕はガラス越しの世界にいる
僕は全く何も感じないみたい
その優しさには殺意が秘められてるなんて
ちょっと狂ってる僕は……
荒涼の光
ビルの谷間を吹き抜ける風に麻痺した感覚をさらしながら
過去になりそうもない傷ですっかり閉ざされてる気がして
荒涼の光の中泣きたくなるほど不安
自由は今日もめまいです
足元がぐらついて
うまく歩けません
憐れむに値しないひどく滑稽で醜いナルシシズムは何時か
牙を剥き出してこの世界の全てを盲目にし暗黒時代の再来
荒涼の光の中泣きたくなるほど不安
静かに動けたら
僕は時の流れの中で砂金の掬い方が分からない
掌で奇形な魚が痛々しい
あの娘は坂道の途中でスキップの仕方を忘れてる
いつもより長い影に足を止められて
静かに動けたらきっといい 静かに動けたら気持ちいい
無理のあるお喋りよりも 沈黙にあるrealを感じていれば
そこから動き出せそうな時がある
静かに動けたらもっといい 静かに動けたらとてもいい
彼は五月の湾岸で海の向こうの蜃気楼を見ている
好きな人に触れられない溜め息をつく
彼女は街灯の下でステップの仕方を忘れてる
ここは円形劇場にはならないって
砂の朝
湖畔の草原に砂嵐 狭くなっていく湖 枯れ果てた樹
ヒステリックな目覚ましのベル 窓から白々しい朝日
干からびた大地 広がる砂漠化 インパラ親子の死骸
目を擦る 欠伸する ビタミン剤をかじる 洗面所で
空の黒い点が鳥の形になって 獲物に急降下してくる
不機嫌な寝癖を気にする 鏡の中の虚ろな顔を洗って
インパラの目と自分の目
慢性的な虚無感を引き摺って
空漠の中僕は砂を噛んでる
なだらかな丘の斜面を潤す雨を待つ
恋人はホースの水で虹を造ってる
strange
仔羊の雲が倍速で流れる 米軍基地のヘリコプターが
人喰いの汚物をまき散らし始めた
丘の上の牧師は今日も手を洗ってる
「汚らわしい」って言いながら
手の皮が剥けてしまってるのにいつまでも続ける
この地区に迷い込んでる僕は
出口を探すけど見つからない
僕の形が少しずつ奇妙に歪む
残酷な事件の予感にサイレン
病んだ太陽と夕立と花売り 空が小さく傷を開いて
そこから魔女狩りの悲鳴が溢れ出す
青ざめた男がネズミを眺めてる
カラカラと滑車が回るのを
「止めてくれ」って男は籠を床に叩き付けた