(あやつじゆきと、1960〜)
ミステリ及びホラー作家さん。1987年、『十角館の殺人』でデビュー、“新本格”と呼ばれる潮流を作ったエライ人。以後「館シリーズ」と呼ばれるシリーズで人気を博す。サプライズ重視の作風で、読者を騙すのが好き。双葉社主催「麻雀名人戦」第30期名人、という顔も持つ。2004年、12年ぶりの館シリーズ『暗黒館の殺人』刊行。
この人の本は、とりあえず外れが無いので安心。代表作の「館シリーズ」と、ホラー系ミステリの「囁きシリーズ」がありますが、ミステリ的には圧倒的に「館」のほうが面白い。必ず順番に読むことが必要。
一つ注意が必要なのは、この作家さん大変に遅筆なので、あまり早いペースで読むと、すぐに読むものがなくなります。味わいましょう。暗黒館が12年ぶりであることを忘れてはいけません(笑)
『暗黒館の殺人』が、『2005年本格ミステリ・ベスト10』第2位を獲得!
今後の綾辻さんの予定は、漫画(!)で『月館の殺人』 (館シリーズではないのかな?)、あと講談社ミステリーランドで一冊書かれるみたいです。
詳しくはこちらのサイトを。 綾辻行人データベース Ayalist
十角館の殺人 | 講談社 | 5 | “ 「感想は? アガサ」 「意外と素敵じゃない」 ” 館シリーズ1作目。デビュー作。アガサ・クリスティの名作『そして誰もいなくなった』を思わせる、孤島の連続殺人もの。犯人は一体誰か?しかし、その強烈無比などんでん返しは、その上を行くのではと思ったり。ちなみに、連続殺人だけど、作者の狙いか力量か、全然怖くない。怖くないから、殺人など苦手な方にもお勧め。 |
水車館の殺人 | 講談社 | 4 | “ 『幻影群像』……。これが、そうなのか。 ” 館シリーズ2作目。デビュー作と打って変わって重厚な雰囲気。過去と現在、2つの時間軸で進行する殺人はどこで交錯するのか、というような話。今回は水車がクルクル回る館だけど、回るだけで特に意味は、無い。森博嗣さん一押しの作品でもあります。 |
迷路館の殺人 | 講談社 | 3 | “ 「扉を開くんですよ」 ” 館シリーズ3作目。迷路を模した館が舞台の連続殺人。本の中に、もう一冊本が閉じ込められている、という凝った作り。 ときに、不便この上ない迷路館。ここだけは住みたくない館ランキング、堂々の第一位です。 |
人形館の殺人 | 講談社 | 4 | “……ブウウウ――――ンンン……” 館シリーズ4作目。京都は不気味な人形が鎮座する屋敷での殺人。当初はこの4作目までの4部作だったそうで。エラリー・クイーンの悲劇四部作よろしく、強烈な真相が待っています。これは前3作を読んでいた方が楽しめるかも。前3作に比べて恐怖感が増していたりする。というか、明らかにこの作者一作ごとに腕が上がっている。するとデビュー当時の力量って……。 |
時計館の殺人 | 講談社 | 5 | 館シリーズ5作目。第45回日本推理作家協会賞受賞。 数多の時計が時を奏でる不気味な館で、起きる凄惨な連続殺人。強烈無比なトリック、それが見事に物語に溶け込んだ傑作。トリックも然ることながら、それが全て一つの線となって物語に昇華されていく様子は、稀に見る傑作だと思います。どうでもいいんですが、舞台が鎌倉で、家から近いなあと思いました(小学生の感想文みたい)。 |
黒猫館の殺人 | 講談社 | 3 | “ 「――あれはどじすんですね、とかなんとか」 ” 館シリーズ6作目。手記パートと現実パートが交互に綴られていく形式。手記に登場する謎の館『黒猫館』、そこで起きる殺人事件。ラストの真相反転は見事で、ファンの間では根強い人気がある作品。 僕が言いたいのはですね、これ書くのは骨が折れただろうなあ、ということです。どういう意味かは、読んでのお楽しみ。 |
暗黒館の殺人 | 講談社 | 5 | “ 「ダリアの祝福を、我らに」 ” 館シリーズ7作目。熊本は影見湖の上に浮かぶ島に建つ、漆黒の館。暗黒色に彩られた館内で、起きる連続殺人。これは中村青司の呪いなのか、それとも。 黒猫館以来、12年ぶりの館シリーズ。ファンをこれでもかと待たせた挙句、京極夏彦もびっくりの分厚さでお目見えした作品です。しかし、ただ厚いだけではなく、そこで語られる物語は重厚、濃厚。待たされて良かったと思える、傑作です。ラストは、希望か、否か。 速報! 「2005年本格ミステリ・ベスト10」第2位! |
どんどん橋、落ちた | 講談社 | 4 | “ 【読者への挑戦】 ” 短編集。全て犯人は誰?という犯人当て小説です。とはいえ、いずれも超難問揃い、おそらくほとんどの人は解けないでしょう。きっと。いや、一問も解けなかった自分の正当化じゃないから(涙) 短編ですが、一冊で流れがあるので、順番に読むことが必須です。ただの犯人当てではない、作家綾辻行人の悩みが垣間見える作品でもあります。個人的には、明るく平和なあの一家を悲劇が襲う『伊園家の崩壊』が爆笑。 |
霧越邸殺人事件 | 新潮社 | 3 | “ 「この家は鏡です」 ” 信州は山奥に立つ一軒の屋敷「霧越邸」、そこに迷い込んだ8人が遭遇する連続殺人。犯人は、誰か? ノンシリーズで、綾辻行人の代表作の一つと目されている作品。厚さも中身もしっかりしたまごう事なき本格ミステリ。 |
殺人鬼 | 新潮社 | ― | “ 「喰え」 ” 双葉山で起きる阿鼻叫喚の連続殺人。 これはねえ、えーと、うーんと、何と言いましょうか。早い話がスプラッター系です。だからね、えっと、うんと…… ごめんなさい、僕駄目です。こういうの苦手中の苦手です。映画バイオハザードでうなされた人なので、もう生理的に。綾辻さんらしく、最後には強烈などんでん返しが待っていますが、それ以外は辛くて。 |
殺人方程式―切断された死体の問題 | 光文社 | 1 | “ どうして犯人は死体の首と腕を切ったのか? ” ビルに篭っていた男が、別の建物に死体となって現れた。しかも身体の一部を切断されて。叶と響、双子の兄弟が挑む殺人事件。いわゆる普通のミステリです。だけど、それだけに物足りなくて。トリック自体も大したことなく。綾辻さんは、こういうのは苦手なんじゃないだろうか。 |