翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 |
講談社 | 2 | “ 小さな歯車の食い違う音がどこかで鳴った。 ” デビュー作。古式ゆかしき古城、そこで起こる凄惨な連続大量殺人。密室、首切り、死者の徘徊、そして見立て。誰が、何のために? 見せ場は、まず二人の探偵の火花散る戦いでしょう。ここで出てくる二人は、後作で探偵として活躍する二人であり、デビュー作では贅沢に使っています。 もう一つ、これは言えませんがミステリファンを唸らせるある仕掛け。マニアであればあるほど、きっと衝撃は大きいんだろうなあ。 ……つまり、俄かファンの僕としてはあまり衝撃を受けなかったわけですが。 個人的には、後作ほどは面白くなかったです。唐突に展開する事件、イマイチつかめないキャラクタ。よくも悪くも後の麻耶作品ぶしは全開なのですが、これはちょっとイマイチかな。帯に書いてあるほどの傑作とは……。 |
夏と冬の 奏鳴曲(ソナタ) |
講談社 | 4 | “ 「うゆーさん」 ” 第2作。雪が降り積もった夏の朝、意味深な建造物、不可解な殺人。起こること全てが奇妙な島、和音島に起きる殺人事件、その真相は何か? 究極の問題作です。僕の中では、『黒い仏』、『匣の中の失楽』と並ぶ三大奇書。初読、正直僕は意味が全く分かりませんでした。それでも、何度か読むうち、何となく自分なりの仮説が出来上がってきて。 キュビズムがテーマ(分かる人、僕の原稿の由来です)ですが、僕は読後キュビズムについて一通り勉強しなおして、もう一度読みました。これはもしかして最大の愚作か、最大の傑作かのどちらかではないかと思います。 無人島に一冊持って行くとしたら、もしかしたらこれかな? |
痾(あ) | 講談社 | 3 | “ 「たいもん」「にゃあ」「たいもん」「にゃあ」「たいもん」「にゃあ」 ” 第3作。そして前作『夏と冬の奏鳴曲』の続編。前回の事件から半月、記憶喪失になった主人公。記憶を取り戻すため放火を繰り返すと、必ず放火後から死体が出てきて……。自分は殺人犯なのか? 麻耶さんが肌に合う人なら、面白いでしょう。正直、最初の記憶喪失の原因が、バナナの皮に滑って転んだといったときにはどうしようか、と思いましたが。この解決を受け入れられるかどうか、あなたの正常具合が分かるかもしれません。トリックは良いのですが、小説としてはちょっと面白くないと言うか。 ところで、猫のたいもんが可哀相すぎです。。。 |
あいにくの雨で | 講談社 | “” |
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メルカトルと美袋(みなぎ)のための殺人 | 講談社 | 4 | “ 何故おれはこいつと友達してるんだ……背中を見つめながら、わたしは本気でそう思った。 ” 短編集。7作収録。傲慢、残酷、怜悧、筆舌に尽くしがたい最悪の、そして天才的銘探偵メルカトル鮎。彼の活躍(?)を描く作品集。 まず最初に言いたいのは、こんな探偵見たことない、ということ。自分の名誉のためには、平気で人殺しすら容認。主人公すら彼にとっては駒に過ぎない。おそらく、ミステリ史上最低の探偵です。 そして無論ばりばりの麻耶作品。特に一作目の『遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる』は傑作中の傑作。というか、この作品で評価4をつけさせて頂きました。 |
木製の王子 | 講談社 | 5 | “ 「神なき地へ、神なき館へようこそ」 ” あまりに人工的な一家、白樫家。そこで起きた、ピアノの上に生首が飾られるという凄惨な殺人。容疑者に存在する緻密すぎる分刻みのアリバイ。一体この家に何が起こっているのか? これはいい。いや、無論麻耶さんに慣れてないと受け付けがたい作品だし、生首ってあたりが血が怖い僕にはきつかったんだけど、この衝撃度は年間ベスト級。思わず最初からもう一度読み直さずにはいられない(つまりはそれだけ複雑なプロットってことだ)作品。 ちなみに僕はこのアリバイトリック見破ったぜ(自慢)。全然真相は分からなかったけど。 |
鴉(からす) | 絶版 | 手に入れた!!! | |
蛍 | 買っちゃいました。えへ。 |